適応障害(Adjustment disorder)

適応障害は、皇太子妃雅子様が心身の不調を訴えられた際に報道され、
一気に知名度が高まりました。

適応障害とは、日常生活の中での主要な出来事(例えば入学、就職、引っ越し、
昇進、病気や障害など)など、あるストレスに対して不適応状態が生じることをいいます。
これにより、仕事や学業などの社会生活を送ることが難しくなります。
症状としては、抑うつ、不安や焦燥、混乱などの情緒的な症状や、不眠、食欲低下、
倦怠感、易疲労性、頭痛、肩こりなどの身体症状があります。
また、時には学校を無断で欠席したり、
無謀・乱暴な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。

症状はうつ病と似ていますが、うつ病は原因となる出来事があまりはっきりしないことが多いのに対し、
適応障害は比較的きっかけが明確で、その引き金となる出来事(例えば職場)から離れると、症状は軽快します。
一方、うつ病はストレスの要因と考えられるものがなくなっても、すぐには良くなりません。
うつ病はそれまで楽しめていた趣味などを楽しめなくなりますが、
適応障害の場合は楽しる場合が多くあります。
また、適応障害は薬が効きにくく、うつ病は効きやすいという違いもあります。
ストレスの原因となるものがあり、適応障害の状態のまま我慢し続けたり、
何の対処もしないままでいると、うつ病へ移行してしまうこともあります。

原因となる出来事から3ヶ月以内(ICD-10では1ヶ月以内)に症状が現れ、
ストレス要因が解消された場合には通常6ヶ月以内に消失します。
6ヶ月以上障害が持続する場合には「持続性(慢性)適応障害」と診断されるか、
あるいは気分障害や不安障害への移行など、他の疾病の合併や進行を考えます。
子どもの場合、指しゃぶりや夜尿症のような退行現象としてしばしば現れます。

適応障害の要因

同じ出来事を体験した人でも適応していく場合もあり、発症には個人的な素因やストレス耐性の弱さ、
あるいは環境変化に対する脳機能の脆弱性が関係しているとされています。

適応障害の治療

症状に対して抗不安薬や抗うつ薬が投与されることが多いですが、根本的な解決方法とはなりません。
物事の認知の仕方や生活の送り方、人生の捉え方などを検討し、
ストレスに対する適応力を養うことが必要となります。
例えば、カウンセリングはもちろん、SSTやアサーショントレニーニングなどを実施することもあります。
しかし上記の通り比較的ストレスの要因がはっきりしている場合が多いため、
そのストレスの原因から離すという環境調節は必要です。
いずれにせよ、「適応能力がない」のではなく、
「過剰に適応しようとした結果、そうならざるをえなかった」ことを知ることが大切です。