描画テスト

描画テストとは

描画テストは対象となる人物のパーソナリティを言語を介してではなく、描画を通して理解する方法のことを指します。
パーソナリティをアセスメントする場合には描画テスト、心理療法として用いられる場合には描画療法(芸術療法)と呼ばれることもあります。
描画テスト単体で、一人の人物のパーソナリティ全てを把握することは少なく、他の心理検査や面接などとともに用いられることの方が多いです。
全体的に、直観的にその人物の適応度やこころの健康状態を知る上ではとても便利な手法といえます。

また、一見、絵の上手い人の方がいい結果がでる検査のように思われがちですが、実際には、描画テストでは、絵の上手い下手は結果の解釈に、大きく影響することはありません。
描かれ方や形式、その内容や絵についての語りなど、描画にまつわる多くの情報から、総合的に理解を構成し、その方のパーソナリティを理解する一助となるものです。

描画テストの種類

描画自体は大きくは「自由画」「課題画」に分けられますが、描画テストでは、テスターの教示に従って、指定された内容について描く課題画が中心になります。
なぐりがきや色を自由につける自由画でもその人らしさを表現し得ますが、課題画の方が条件が統制されている分、絵を理解する際に、過去の統計的な知見を参考にしやすくなります。
課題画の場合には、課題内容だけでなく、用紙や筆記用具、描画後の質問など、実施条件は具体的に定められていることが多いです。

言語的教示は「○○を描いてください」というシンプルなものであることが多く、その自由度の高さに戸惑われる受検者の方も少なくありません。
その方が自由に表現できる場で絵を通して何をどこまで表現するのか、そして、描画を見守り、抱えようとする検査者との間で何を表現するのかという作業が、行われています。

代表的なものには、1本の木を描く「樹木画(バウムテスト)」、一人の人物を描く「人物画(DA P:Drawing A Person)」、木と人と家を用紙の中に統合的に描く「S-HTPテスト」、複数のアイテムを組合せ、一枚の用紙の中に風景を構成する「風景構成法」、家族のイメージを描く「家族画」などがあります。
さらに、火や水といった不定形なものや、怒りやくつろぎなど抽象的なものを描く課題、多くの変法も考案されています。

描画にまつわる研究においては、どの指標が何歳時に出現するのかといった発達段階の観点から見た統計的な研究や、空間配置やアイテムの内容にまつわる象徴理解の研究などがなされ、知見が重ねられています。

描画テストでわかること、長所と短所

描画に現れているものが、描いた人物のどの側面を表しているのか、表層の部分なのか、防衛的な姿勢なのか、深層の部分なのか、を分析していきます。
分析の対象としては描かれた絵以外には所要時間、検査を通しての姿勢、描線、描画後の質問(PDI)あり、絵については全体的印象や形式の分析、内容の分析が行われます。
結果として、言葉や思考として意識されにくい自己イメージやパーソナリティの発達の程度、病理的な側面、他者との関係性や精神エネルギーの用い方など把握していきます。

言葉や文字で自身のことを表現するのが難しいと感じておられる方や、絵画を通して感覚的に自身の内面を表現したいと感じておられる方には、この手法での自己表現が向いていると考えられます。
こうした非言語ゆえの、視覚増に訴えかける形での直接的、直観的なコミュニケーション法であり、視覚イメージによる内面の共有が可能となることが長所であるといえるでしょう。

また、一定の間隔を空けながら、繰り返し同じ課題の描画に取り組む(リテスト)場合には、その描画を並べてみてみることで、その期間におけるその方の内面の変化あるいは不変は一目見て把握することができます。
その一方で、絵を描く人物が、表現したくない、内面を相手に見せたくないと拒めば、容易に表層のみを映し出す絵となります。
あるいは、描画テストの場面で課題となる内容を本格的に描き出そうとするのであれば、それはその場にあまりふさわしくない美術の課題となりうるでしょう。

あくまで、描画に取り組む方とそれを見守る検査者との間で、絵を通じて内面が映し出される媒介としての絵であることが重要といえます。

当研究所で実施可能な描画テストについて

どの描画テストが自分にあっているのかは、スタッフにご相談の上でお決めいただくこともできますので、お気軽にご相談ください。
なお、描画テスト単体でも実施可能ですが、テストを組み合わせて受けられることで、ご自身のことをより深く、立体的に知ることができますので、他の検査との組み合わせもお勧めしています

料金につきましてはこちらの心理テスト一覧をご覧ください。

お申し込み・お問い合わせはこちらから

用語説明(心理テスト)に戻る

タイトルとURLをコピーしました