医療通訳研究会にて講義をさせていただきました

先日、医療通訳研究会で「精神科」についてお話をさせていただきました。
通訳をする場合、様々な専門的知識を広く知っておかなければきちんと通訳ができないそうです。
そして、現在、精神科通院に同席するというケースも増えているということで講義依頼を受けました。

参加された通訳者は40名ほど。
母国語が日本語の方からそうではない方まで様々な言語を扱われる皆様にご参加いただきました。

どういう症状がでたら精神科を受診したらいいのか
精神科と心療内科の違いは何か
診察とカウンセリングの違い
コメディカルそれぞれの専門性 入院形態などのお話をしました。

皆さん、大変興味を持ってくださり、真剣に話を聞いて下さいました。
そうした中で、一番質問があがったのが
臨床心理士と公認心理師についてでした。

特に諸外国では、心理士が医師と同程度の権限を持っていることが多いことから
「心理士に会いたい」という方も少なくないようです。
また母国でカウンセリングを受けていた方が日本に来て継続したいというご希望もあるとのこと。
そうした時に、母国と日本の違いに驚かれるそうです。
そして、通訳者もきちんとした国家資格が存在せず
多くの通訳者が民間資格を取得され、ご自身で自己研鑽を積んでおられるとのことで
臨床心理士である私にとても共感していただけました。

また、紛争地域でのトラウマなど、文化・地域的背景が異なる中で育った方が
日本の精神科を受診しても、その背景を十分に理解いただけることも
少ないと感じておられるようでした。
さらに、子どもの発達に関して、家と社会とで異なる言語が使われている場合
言葉の遅れが見られることも多いようで
そうした背景を考慮せずに「発達の遅れ」とされてしまう、といったこともあるとのこと。

こうした事態は、私たち心理職や福祉職も知っておかなければならないと感じました。
日本は、異文化が混在しにくい国であるため
日本以外の文化をもった方々の心情や背景を自然と知るということは困難であり
今後、多くの海外の方が日本にやってこられることを考えれば
私たちが外国についてもっと勉強をしなければならないのではないかと思います。

さらに私自身も外国の方や手話を使われる方との面接経験があり
そのことについてもお話をさせていただきましたが
やはり共感や応答がずれてしまうことがあり、対応が難しかったように思います。
通訳者もカウンセリング場面の同席が一番難しいと感じておられるようで
セラピストが通訳者に向かって話すようになってしまうこともあるとのこと。
そうした事態を避けるために、セラピストは外国語を簡単にでも分かるようにしておいたり
心理教育などできる範囲の対応をすることが重要ではないかと考えさせていただき
通訳者の方も、同時通訳のスキルを身につけるなどカウンセリングにあわせた通訳方法を検討し、
そのスキルを学ぶことが必要だとおっしゃっていただきました。

通訳者の方への講義は初めての経験で、講義をしている私も非常に多くの学びがありました。

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