「WAIS-Ⅳ、WISC-Ⅴ 職員研修」の講師を行いました!

2022年12月、2回にわたって児童養護施設 四恩学園に伺い、心理職員さんを対象に、WAIS-Ⅳ、WISC-Ⅴの研修を実施させていただきました。
それぞれ4時間ずつと長丁場だったのですが、みなさん意欲的に学んでくださいました。

1回目は、WAIS-Ⅳについて解説を行いました。
最初は検査の概要や、使用者の責任、実施前・中に気をつけるべき点等をざっと確認をしました。
これらは検査を実施している者であれば、ある程度理解していることですが、意外とマニュアルを読む際に見落としていたり、慣れてきて我流になってしまっていたりするため、こうした研修の際には軽く確認を入れるようにしています。

その後、WAIS‐Ⅲからの変更点について説明を行いました。ウェクスラー式知能検査は、およそ10年に1回程度、改定が行われています。
どこが変更になったのか、なぜ変更になったのか、その変遷を学んでおくことで、各検査の意図がつかめるようになりWAIS‐Ⅳへの理解が深まります。

全体的な説明が終わると、プロフィールの読み方や、解釈の仕方、所見の書き方について説明をしました。
それぞれの数値の見方だけでなく、行動観察や回答の内容分析もどのように解釈に組み入れていくかを丁寧にお伝えしました。
その後、私が持っていった実際の事例を提示し、説明したプロフィールの読み方を適応するとどのようになるかを解説しました。
2事例目は、参加者のみなさんが、どこに着目するか、どのように解釈するかを順番に発表していただきました。

2回目は、WISC-Ⅴについて解説を行いました。
WISC-Ⅴはまだ、実践も少ないようで、検査内容を十分に覚えていないところがあるということでしたので、問題冊子など検査道具を触りながら説明をしました。

実施における基本的な姿勢等は、WAIS‐Ⅳのときに説明しましたので、WISC-Ⅴの時はそこを省略し、プロフィールの読み方を中心に解説を行いました。
WISC-Ⅴは、CHC理論を元にした知能をより正確に測定できるように合成得点や下位検査が新しくなっています。
また補助分析も多く加わり、より多くの数値が算出できるようになりました。
まだ換算ソフトが出ていないため、計算は大変ですが、その分、検査者の経験ではなく、きちんと数値や理論に基づいて解釈しやすくなっています。

WISC-Ⅴは直近に検査を実施した職員がおられたため、そのデータをみなさんで見ていく作業を行いました。
主訴を確認し、その主訴を解決するためのヒントが検査結果の中にないかをみていきます。
そして、数値に差があるところや、事前情報と異なるところなどがあれば、なぜそうなっているかの仮説をたて、その仮説が立証される他のデータがないかを確認します。

検査用紙の中を何度も行ったり来たりしながら、数値についての仮説を話していると、参加者の中に受検者について気になる情報があると申し出てくれた職員がいました。
それは、検査の中で私が「この受検者がココをどのように見えているか気になる」と伝えたことに関して、新たな仮説を生み出す情報でした。
心理検査の結果は、多くの情報をもたらしてくれますが、それだけでは受検者の全体をつかむことができません。
可能な範囲で受検者の情報を集め、心理検査の結果と組み合わせることで、より多角的に、総合的に解釈をすることができるようになります。
そんなことを再確認させてもらう出来事でした。

職員のかたは「こういう時にはどうなるか」「これはなぜそういえるのか」など疑問に感じたことを積極的に質問してくださり、質問に答えることでさらに学びを深めることができました。

今回、新しく検査道具を購入したことに伴う職員研修だったそうです。
職員のための研修費用を職場が負担してくれるというのは素敵ですね。

4時間があっという間に過ぎ、2回とも時間オーバーをしてしまいました・・。
講師も楽しいと思える研修会になりました。

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