ウェクスラー式知能検査は、アメリカの心理学者であるWechsler,D.(ウェクスラー)が、個人の知能構造を診断する目的で開発した知能検査です。
ウェクスラーは、知能を「目的的に行動し、合理的に思考し、環境を効果的に処理するための、個人の集合的ないしは全体的能力」と定義しました。
ウェクスラー式知能検査で分かること
ウェクスラー式知能検査を実施することで、同年齢集団の中での個人の知能水準の位置を知り得る知能偏差値IQが算出できます。
また、検査項目の高低も算出するため、その方のもつ知能の中で、どのような力が高いのか、または低いのかといったことが理解できます。
具体的には、言葉を使う力や短時間記憶を保持する力、単純作業をこなすスピード、論理的推理力などの力を測定することができます。
そして検査結果から、日常生活や社会生活での困り感とどのような関連があるのか、それらを解決するためにはどのような方法をとればいいのかを明らかにします。
一方で、ウェクスラー式知能検査は、全知能の一部を測定するものであり、人間のもつ知能全てを測定することはできません。
また、検査の際は、静かな落ち着いた部屋で1対1で行うため、多くの人と一緒に作業するような社会生活場面とは異なる環境で、その人が発揮する力を測定するとも言えます。
★ウェクスラー式知能検査は「知能検査」であり、発達障害の有無を発見するための検査ではありません。また当研究所は医療機関ではありませんので、「診断」を行うことはできません。
ウェクスラー式知能検査の種類
ウェクスラー式知能検査は、受検者の年齢によって、幼児期はWPPSI(ウィプシ)、児童期・思春期はWISC(ウィスク)、成人期以降はWAIS(ウェイス)と検査名が異なります。
また検査は発売後、約10年に1度のペースで内容が改定されています。
WPPSIは1967年に発売され、現在はWPPSI-Ⅲ(2017年)が最新で、2歳6ヶ月~7歳3ヵ月が適応です。
WISCは1949 年に発売され、現在はWISC-Ⅴ(2022年)が最新で、5歳0ヶ月~16歳11ヶ月が適応です。
WAISは1955 年に発売され、現在はWAIS-Ⅳ(2018年)が最新で、16歳0ヶ月~90歳11ヶ月が適応です。
所要時間は個人差がありますが、どの年齢でもおよそ2時間~2時間半となります。
疲れた場合には途中で休憩をはさむなど、受検者に合わせて実施します。
当研究所での実施
当研究所では児童・思春期を対象としたWISC-Ⅴと成人期以降を対象としたWAIS-Ⅳと、どちらも最新の検査道具を用意しているため、幅広い年齢層の方に実施することができます。
なお、WAIS-Ⅳ単体でも実施可能ですが、知能だけではなく、性格やパーソナリティも含め、総合的に自分のことを知りたいと仰る方も多いです。
テストを組み合わせて受けられることで、ご自身のことをより深く、立体的に知ることができますので、他の検査との組み合わせもお勧めしています。
基本検査と補助検査について
WAIS-Ⅳは、10の基本検査と5の補助検査から成り立っています。
基本検査は、IQと4つの指標の得点(正式には合成得点と呼ばれています)を算出するために実施されるものであり、検査項目は「積木模様」、「類似」、「数唱」、「行列推理」、「単語」、「算数」、「記号探し」、「パズル」、「符号」からなります。
補助検査は、測定できる認知能力全体の範囲をさらに拡大し、その方のもつ能力間の差を詳しく知るために実施されるものであり、検査項目は「語音整列」、「バランス」、「理解」、「絵の抹消」、「絵の完成」からなります。
WISC-Ⅴは、10の基本検査と6の補助検査から成り立っています。
基本検査は、IQと5つの指標の得点(正式には合成得点と呼ばれています)を算出するために実施されるものであり、検査項目は「類似」、「単語」、「積木模様」、「行列推理」、「単語」、「算数」、「記号探し」、「パズル」、「絵のスパン」、「記号探し」からなります。
補助検査は、測定できる認知能力全体の範囲をさらに拡大し、その方のもつ能力間の差を詳しく知るために実施されるものであり、検査項目は「知識」、「理解」、「絵の概念」、「算数」、「絵の抹消」からなります。
基本的には、10の補助検査を実施すれば、IQは算出されますし、その方のもつ認知機能や作業能力が把握できます。
補助検査を実施することで、さらに詳細な情報が得られ、社会場面や生活場面での困りごとの理解や対処法を具体的に考える上で役に立てることができます。
特にWISC-Ⅴは、補助検査を実施することで補助分析も算出することができるようになり、解釈できるデータが倍になるため、おススメです。
知能は発達の一部です。
未成年の場合、体の発達同様に成長とともに知能指数も変化します。
また、知能指数と学力は必ずしも一致するわけではありませんし、お子様の興味関心と一致するわけでもありません。
知能指数によってお子様の将来を決定することは非常に危険です。
結果は、あくまでお子様の得意・不得意を理解するためにお役立てください。
