2020年12月22日(火曜)に初学者ロールシャッハ勉強会を開催しました。
この勉強会は、毎月第4週の火曜の19時半~21時半に開催しています。
前半は、今回は前回の続きで『ロールシャッハとエクスナー ロールシャッハ・テストの起源と発展』(2005、包括システムによる日本ロールシャッハ学会 (編)金剛出版)より、仕立屋の事例を検討しています。ロールシャッハが実際に検査を実施しており(1920年ななので、ちょうど100年前になります!)、書籍の中ではそのデータを基に解釈がなされています。今回はコーディングの確認の続きをしてから、構造一覧表の解釈に入っています。
この検査は、うつ症状で数週間、精神科病院に入院していた仕立屋の男性が退院するにあたって、実施されたものです。書籍によれば、症状は短期間で軽快しているものの、ロールシャッハは彼の中に隠された抑うつを感じており、このまま退院させて深刻な事態に陥ることを恐れての検査のようでした。しかし、構造一覧表をみていくと、まず抑うつ指標(DEPI)が陽性にはなりません。では、入院前にこの人の心の中で何が生じて入院に至ったのか、それを構造一覧表から順次読み解いていくことになります。現代でも、精神疾患の精査を目的にロールシャッハ・テストが実施されることを思うと、今の私たちにも十分に役経つ症例のように思います。
今回は途中までだったので、次回も、本に沿いながら解釈の続きをしていきます。
後半では、コーディングブックを使ってコーディングを練習するグループと、基本的なコーディングの知識を一つ一つ確認していくグループに分かれて、勉強しています。今回特に話題になったのは、「被検者がロケーションとして説明しているのか、反応として説明しているのか」や「「向かい合っている」は運動なのか、姿勢なのか」、「反応内容でダブルコードできないものは何か」などでした。それぞれ話し合った後で、解釈本に戻って確認しています。
この勉強会には、現場でロールシャッハ・テストを実施している人も、今、現場では実施していないけれど学んでいきたいという人も参加しています。ロールシャッハ・テストを実施するときの疑問や、他の手法との違いについてもディスカッションできるので、一から包括システムの手法を学びたいという方にもお勧めです。月に一回の勉強会ですので、少しずつですが着実に技術を身に着け、勉強仲間を作ることのできる会です。
次回は、2021年2月16日火曜の19時半から(2時間)になります。(1月の開催は中止となりました。)
ご関心のある方はこちらから是非お申し込みください。