今さら聞けない心理療法の基礎 ~「知ってはいるけど…本当はよくわかっていない」を学ぶ~ 架空事例を各学派から 見立てる

今回は「今さら聞けない心理療法の基礎」シリーズの最終回となる第8回目で、「架空事例を各学派から 見立てる」というテーマで、これまで講師として来ていただいた先輩心理士(師)さんたちオールスターズでの研修となりました。
これまでの研修で学んできた各学派のアプローチが、事例に対してどのように用いることができるのか、その見立てや方針、介入の仕方などについて、具体的に学び、また、学派の違いによってどのように変わってくるのかを知ることができる研修となりました。

前半の架空事例では、精神分析(浜内彩乃さん)、CBT(小野真嗣さん)、ブリーフセラピー(竹田剛さん)、フォーカシング(岡村心平さん)の各学派の先輩方から、見立てや介入についてお教えいただきました。
事例の概要は、胸の気持ち悪さを主訴としているケースでした。
そして、後半の架空事例では、PCA(筒井優介さん)、ABA(河上雄紀さん)、家族療法(浅井伸彦さん)の各学派の先輩方から、見立てや介入についてお教えいただきました。
事例の概要は、夫婦関係が悪化し、妻にカウンセリングを受けるよう言われたケースでした。
どうしても架空事例のインテーク情報のみですので、実際に事例の方に会ってみないと分からないところがあるという前提で、それぞれのお立場でのお考えを、講義時の内容にも立ち戻りながらお話してくださいました。
セラピーの期間にまつわる時間感覚の違いや、人間観の違いなどがディスカッションで話されましたが、「しているアプローチは同じなんだけれど、それを違う言葉で説明している」「同じもの(クライアント)を触っているんだけれど、その感じ方が学派によって違う」などのコメントは非常に印象的でした。
また、何人かの先輩方は、一度、その学派のアプローチで試しに介入をしてみて、適応ではないと感じたら別のアプローチに切り替える、ということでした。
皆さん、軸となる心理療法の知識や技術とは別に、他のアプローチについても学んでおられましたし、現場でクライアントのニーズに多様に応じるためにさまざまな経験を積んでおられることも垣間見えました。

アンケート結果をみても、これまでの回の中でも、今回の架空事例の検討の評判はよく、具体的に事例を通して介入を学ぶことができるのはよかったようでしたし、何よりも先輩心理士の先生方が豊富な知識をもちいながら、楽しそうに臨床を語っておられる姿をみて、こんな先輩になろう!と思ってくださった参加者の方々もおられました。

今後も、本シリーズのような研修の開催は検討していきたいと思っております。


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