認知行動療法(cognitive behavior therapy:CBT)

認知行動療法は、オペラント条件づけやレスポンデント条件づけ等による学習理論に基づいた行動療法と、認知の歪みに焦点を当てた認知療法を組み合わせた心理療法の総称です。
うつ病や不安障害に一定の効果があることが科学的に証明されている(エビデンスがある)という点で、特に欧米でその認知度は高く、また広く活用されています。
認知行動療法はあくまで総称であり、その内容は多岐にわたりますが、ここでは代表的な内容をご紹介します。

認知行動療法の考え方と目的

まず、認知行動療法では「認知や行動が変われば、気分や身体症状が変わる」と考えます。
ある出来事があった場合、人によってその受け取り方が異なります。
たとえば、「メールが返ってこない」時、「嫌われているんじゃないか」と受け取る人もいれば、「忙しいのかな」と思う人もいます。
このように、物事の捉え方を「認知」と呼び、この認知には様々なパターンがあると考えられています。
特に、つらくなりやすい認知をより楽に生きられるような認知へと変えようとするのが、認知行動療法の目的です。

厚生労働省のホームページではうつ病や不安障害に対する認知行動療法のマニュアルが公開されており、日本でも公的に普及が推進されている方法であると言えます。
このマニュアルでも触れられていますが、「認知行動療法」では、一般的には「自動思考」や「スキーマ」といった概念を用いて意識や思考を捉え、「コラム表」といった道具を使いながら問題の解決を模索します。

「自動思考」、「スキーマ」とは

「自動思考」とは、様々な状況でその時々に自動的に沸き起こってくる思考やイメージのことを
いいます。
先の例で言えば、合理的な理由がないにもかかわらず「嫌われている」と、ふと浮かんでしまうものを指します。
一方「スキーマ」とは、「心の枠組み」や「中核的信念」とも呼ばれ、その人が長い年月をかけて形成してきた認知構造のことをいいます。
これも先の例で言えば、「メールが来ない。嫌われている」と感じているとすると、その裏側には
「私は何をやっても人から好かれることはない」という信念(スキーマ)が隠れているかもしれません。
人は目の前の出来事について様々な自動思考やスキーマを用いていますが、不適応状態となっている場合に、認知行動療法ではその出来事を受け止める際に何らかの認知の歪みがあり、不適応的な自動思考やスキーマを用いていると考え、これにアプローチすることになります。
また、最近では身体症状の裏にある苦悩や不安に対しても用いられることがあります。

「コラム表」を用いた場合の流れ

 比較的使用されることの多い「コラム表」を例に取ると、下記のような流れになります。

  1. 具体的な状況を整理する:◯月✕日、上司から「書類が間違っている。もう新人じゃないんだから」と言われる
  2. 気分を言葉にし、数値で表す:「怒り」60%、「憂鬱」40%
  3. 自動思考を見つける:「自分だけがいつも怒られている」
  4. 根拠(客観的事実)を探す:「期日が短く、仕事が立て込んでいた」
  5. 反証(自動思考と矛盾する事実):「みんなの前で『期待している』と言われたことがある」
  6. 適応的思考(別のあたらしい考え)を探す:「いつもより切羽詰まってミスをしてしまったが、その難しい状況を切り抜ける力を求められている」
  7. 今の気分を数値で表す:「怒り」20%、「憂鬱」20%

自動思考の背景には、より根本的な価値観であるスキーマが存在すると考えられており、自動思考を修正したにもかかわらず繰り返し湧き上がってきたり、つらい状況が他にも頻繁に起こる場合、このスキーマについて取り組むことが多いとされます。

認知行動療法と他の心理療法との違い

認知行動療法はある程度取り組む内容や手順が決まっていたり、セラピストがクライエントに
具体的に指示することも他の心理療法と比較して多いと言えます。
あくまでプログラム化されたツールとして活用されるため、例えば精神分析的心理療法を行っているカウンセラー・セラピストが認知行動療法を用いることもあります。

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