月経前症候群PMS

女性の生理周期について

女性の生理周期は、一般的に約4週間(28~30日)で1サイクルとなっています。
1サイクルの間に「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「生理」の4つ時期があり、生理が始まっておよそ14日後に排卵が起こります。
また生理周期は、女性ホルモンの「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の変動によって生じているため、約1ヶ月の間で女性の身体や心の状態は変化していきます。

月経前症候群とは

月経前症候群(以下、PMSとします)の症状は、生理が始まる3~10日ほど前から、身体的・精神的にさまざまな不調が現れ、生理が始まると症状は治まるところが特徴です。
人によって症状の程度は異なりますが、生理前に不調が現れ、生理が始めると症状がなくなるといったサイクルを何度も繰り返している状態であれば、PMSの可能性があります。

症状

精神的な症状としては、情緒が不安定になり、すぐにイライラしてしまったり、気分が落ち込みやすくなったり、集中力が続かなくなってしまうことがあります。
また、睡眠障害や食欲不振・過食、めまいといった自律神経の乱れが生じることもあります。
また身体的な症状としては、腹痛や頭痛、肌荒れ、だるさ、むくみ、乳房が張るなどがあげられます。
症状の程度や特徴は人それぞれです。
特に精神症状が強く、日常生活への支障が目立つ場合は、月経前不快気分障害(PMDD)の可能性もあります。

原因

PMSの原因ははっきりとは解明されていませんが、主に、女性ホルモンの「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の変動が関わっていると言われています。
月経前の「黄体期」に「エストロゲン」と「プロゲステロン」の急激な低下が起こることによって、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を起こし、PMSの症状が現れると考えられています。
また、ストレスが大きいとPMSの症状も重くなると考えられています。
そのため、まじめで几帳面な性格や、何かと我慢してしまう性格の人は、生活の中でストレスを溜め込みやすいので、PMSの症状も重くなってしまう可能性があります。
また、ストレスの多い環境(例えば長時間労働の職場や人間関係が悪いなど)であるために、PMSの症状が強くなってしまうこともあるでしょう。
このように、女性ホルモンのバランスだけでなく、さまざまな要因が重なって症状が出現してしまう場合もあります。

問題

PMSの症状によって、日常生活の中でさまざまな問題や支障が出てくることがあります。
例えば、PMSの症状が辛く、仕事や学校を休まなくてはいけなくなったり、集中力が続かず、仕事や勉強、家事などが滞ってしまったりすることもあるでしょう。
また、感情をコントロールすることができず、些細なことでイライラしたり落ち込んだりしてしまい、人間関係にまで影響が出てしまうこともあります。
このような場合、周りの人や家族、親密な相手(交際相手や友人など)からの理解が得られにくいと、ケンカの原因になってしまったり、それがきっかけで関係が悪くなってしまったりすることもあるでしょう。

多くの女性が生理の前に何らかのPMSの症状を抱えていると言われていますが、PMSの症状の程度は個人差があり、女性であっても症状を感じる人や、全く感じない人もおられます。
なので、女性同士であっても、PMSで辛い思いをしている人に対して、「大げさに言っているのではないか」「怠けているのではないか」と捉えてしまう人もおられるかもしれません。
身体のつくりから異なる男性に関しては、症状に対する理解を得るのはさらに難しいことといえるかもしれません。
また、PMSの症状があるけれども「生理前だから・・・」と症状を過小評価し、何らかの治療を行なわないで過ごしている人もおられます。

このように「PMSは病気である」という理解が周りから得られにくい現状と、デリケートな内容のため周りに相談しにくく、一人で悩んでいる女性は多いでしょう。

治療

原因がはっきりと解明されていないため、さまざまな治療方法があります。
女性ホルモンの変動によって生じると言われているため、排卵を抑える薬を服薬して症状を抑えることもあります。
また身体症状や精神症状の程度によって、漢方や鎮痛剤、抗うつ薬などを用いられることもあります。
症状が比較的に軽度な場合は、バランスのよい食事や運動などを取り入れて生活習慣を見直すことで、症状の軽減を図ることもできます。
人間関係に影響が出ている場合は、起きている問題を改善するために、相手と話し合う時間を作ることも大切でしょう。
また、カウンセリングを利用して、周りから理解や配慮を得るために、どのように相手に伝えるかを考えていくことや、ストレスを軽減するために、環境を整えていく手立てを教えてもらうこと、あるいは、ストレスを溜め込みすぎないように考え方を変えることも有用です。

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