午前の部は、参加者の皆様の中から
WISC-Ⅳの事例とWAIS-Ⅳの事例をご提示していただきました。
「診断を求めて来られた方へのフィードバックはどのようにしたらいいのか」
「どうったことを所見に書いたらいいのか」
「環境要因も大きいと思うがどう伝えたらいいか」
といった質問が出されました。
継続してカウンセリングを受けることなく
検査を実施してフィードバックして終了という方には
所見やフィードバックでの内容が特に重要となってきます。
相談者の方が結果を受けた後、
ご自身で試行錯誤やってみようとするための指針になりますし
それでもうまくいかなかった時に
「相談にのってもらおう」と思ってもらえるようにすることがフィードバックの大きな役割の一つだと考えます。
そのためには検査からわかったことのなかで
ネガティブな情報ばかりに偏らないように
どういったところが得意なのか
その方がとられている方略のうち正しいことはどれなのか
などポジティブな情報もきちんと表現する必要があります。
また、ウェクスラー式知能検査では、障害の有無はわかりません。
しかし、数値の高低などから、相談者がどれほど困難を抱えやすいかを想像することはできます。
障害かどうかに囚われず、相談者の困りごとをきちんと表現し、医師と連携をとることが
心理士の専門性であることを確認しました。
午後の部では、担当者がWAIS-ⅢとWAIS-Ⅳの2事例を提供しました。
発達障害の診断がついている事例がいいとの希望があったためそのご希望にそった事例でした。
ASDの診断がある事例では、群指数間に有意差はなく、理解や絵画配列が最も高い得点となっていました。
ADHDの診断がある事例では、ケアレスミスや自己訂正は少なかったです。
こうしたところから、改めてウェクスラー式知能検査では障害の有無がわからないことを確認し
そのうえで日常生活のことを聞き取り
検査結果と日常生活との差があった場合に
なぜ差が生じているかを検討する必要があることを説明しました。
次回は2021年3月7日です。
今年度最後になります。
午前の部、午後の部ともに単回参加募集中です。
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