職員の服装や言葉遣い、連携が子どもや保護者にどんな影響を与えるか

2022年10月4日に13時30分~16時30分、大阪市内の会議室にて
大阪府内の児童養護施設4カ所(大阪市立長谷川羽曳野学園、大阪市立弘済みらい園、田島童園、助松寮)が集まり、「アウトリーチ型研修」として企画されたものに講師として呼んでいただきました。

それぞれの施設から、比較的経験年数の若い方々がご参加いただきました。
テーマとしては、「職員の服装や言葉遣い」ということでいただきましたが、どのような服装や言葉遣いがふさわしいのかという話の前に、人はどのような時に犯罪を犯しやすいのか、人の行動はどうやって学習され、生起されるのかということを、社会心理学の実験を通してお話をさせていただきました。

職員個人に対して「こういうことに気をつけましょう」ということは簡単ですが、なぜそれを気をつけなければならなのかについて、きちんと理由がわからなければ「不要」だと感じてしまいます。

人間はそれほど意思が強くありません。
ちょっとした環境や周囲の関わりの違いによって、自分の行動や意見はあっけなく変容します。
そうした変容は誰しもが生じるものです。
そのため、どのような環境がどのようように影響させるかを知ることが重要です。
個人の意思によってしたと思われる行動も、実は環境に影響されたものであるということも珍しくありません。

環境は個人に大きな影響を与えます。
そのため、環境を良い方向に整えることができれば、個人に対しても良い影響を与えることができます。
それは、施設にいる子どもにとっても、職員にとっても同様です。
そして、個人が集まって集団になります。
そのため自分にとって、自分以外の他者は環境になりますが、自分もまた他者にとっての環境となるのです。

また子どもはさまざまな学習をしながら日々過ごしていますが、その中でも「観察学習」について説明させていただき、身近で親密な他者が子どもたちにとって模倣しやすい対象であること、誤った学習をしてしまうことで、子ども自身が将来傷つきを抱えてしまう可能性があることについてもお伝えしました。

研修の中で、前後左右の人と「どのような言葉遣いや服装が良くないのか」ということにういて話し合ってもらう時間を設けました。
・露出が多い服装
・命令口調
・プリントされている文字やイラストに気をつける
・ネイル
・穴が開いていたり、汚れていた浬する服装
・保護者の前で使えない言葉遣い  等々
多くの意見がでてきました。
業務上、服が汚れてしまったり、穴が開いていることに気づかなかったりすることはあると思いますが、そうしたことを指摘しあえる関係づくりと、気づいた時に職員が「恥ずかしい」という気持ちを表現することの大事さ(恥ずかしいと感じることは文化に由来するため)についてもお伝えしました。

最後は連携についての重要性や情報共有の意味についてもお話させていただき、休憩時間中に机を動かし、4つの施設ごとに模造紙を広げ、各施設の情報共有に関する強みと弱みについて分析をしてもらいました。
そして弱みに対してどのようなアプローチが考えられるか意見を出し合ってもらいました。
さらに、他の施設が書いたものを自由に見て回り、コメントや質問を書き込んでもらいました。
自分の施設がやっていることに対して、他の施設の方から「すごい」「羨ましい」などのコメントがついたことで、「これで良かったんだ」と感じることができたようです。
また、他の施設がやっている工夫について、自分のところの施設でも取り入れられないかという意見もでていました。

今回のように研修などの学びの場が設定されることや職員同士が話しやすい関係であることを「強み」として書いている施設も多くありました。
実際、研修をしていても、みなさん真剣に話を聞きつつも、ディスカッションの時間には和気あいあいと自由に意見が出せる雰囲気で、私も前で話しやすく、ついつい話過ぎて時間が目一杯になってしまいました。

参加されている方々だけでは解決できないこと、児童養護施設全体の課題についても少し浮かび上がっていたように思います。
今回の研修ではそこまで扱えなかったですが、個人が頑張れること、施設として頑張れること、領域として取り組まなければならないことなどを意識していくことも大事だと感じました。

日々、多忙な中で、4施設が合同でこのような研修を行うというセッティングができるということも施設の強みであり、好循環を生む環境だと思います。
この研修がその一助になればと思います。


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