2021年3月28日日曜に、もともと2月7日に予定されていた「初学者のための『心理検査(人格) 事例検討会』(2020年度)5回目」を開催しました!(緊急事態宣言の時期にあったため、延期していました)。
第一部では、人格検査を実施した2事例を、参加者の先生方で検討していきます。今回提示された事例はどちらも成人で、うつ症状を呈している事例でした。PFスタディ、バウムテスト、TEGを中心に、他の検査の情報も加味しながら、それぞれの検査からその人のうつ症状がどういうところから生じているといえそうか、その方のパーソナリティで特徴的といえるのはどんなことかを意見を出し合いながら検討しています。
PFスタディは概して、対人葛藤において自分にその原因を求めたり、原因を自ら解決しようという思いが強くなると自責のスコアが高くなるとされています。出来事の失敗について自らを責めやすく、自尊心が低いタイプの方に多いです。その一方で、責任の所在を相手に求め、相手を非難し、解決を要求する傾向の強い、他責型の方もいらっしゃいます。一概には言えませんが、同じうつ症状を呈していても、前者のスコアの場合には自尊心の低い、メランコリー型のうつだったり、後者の場合には年齢相応の対人スキルが備わっていない、他責的な性格をもつうつの方だったりします。
バウムテストの場合には、うつ症状により、活動エネルギーの水準が低下している場合には、木の大きさや描かれる位置、木の構造などにその特徴が現れますし、実年齢にそぐわない精神構造がある場合には木の構造や描かれ方にその特徴が現れます。
事例の詳細にふれることはできませんが、提示された2事例は異なる性格特徴をもつ方々でしたので、事例を比較しながら検査データの解釈をディスカッションすることができました。
第二部では、研究所のスタッフが講師となり、1事例について丁寧に解説していきます。人格検査を実施するにあたって、インテーク時点でどの人格検査が必要と見立てるか、検査を実施するとどのようなデータが現れると予測されるか、検査にあたっての行動観察、結果の整理の仕方、解釈の立て方など、参加者の方々の質問もお聞きしながら、ワイワイと会を進めていきました。
2020年度の事例検討会は、この回をもって最後となります。
さまざまな事例に触れ、一つのデータをどう読み取るのか、ディスカッションしながら考えることのできる有意義な会であったように感じています。コロナ禍もあり、ご参加が難しい先生方もいらっしゃったので、残念な思いもありました。
2021年度の開催につきましては現在のところ、対面実施の難しさもあり検討中ですが、開催が決まりましたら、またご案内させていただきたいと思います。