2021年度初学者精神分析勉強会(第1回)を開催しました

2021年4月4日に、ZOOMにて、初学者精神分析勉強会を開催しました。
2020年度に開催していた対面での会を、本年度よりオンラインに移行したものになります。
10時から12時までの2時間開催であり、『現代精神分析基礎講座 第4巻 精神分析学派の紹介2』を課題図書とし、毎回各章について事前に購読をし、当日にディスカッションを行います。
なお、今年度より、講師の先生をお招きし、内容やディスカッションについてご助言をいただきます。

本日の内容は「第8章 子どもの精神分析的心理療法2 クライン派の子どもの精神分析的心理療法: タビストック・モデル」でした。講師には、心理オフィスK代表の北川清一郎先生をお招きしています。

本章では、英国における子どもの精神分析の歴史的変遷や、タビストック・モデルの成立について、子どもの精神分析的心理臨床の理論と実践について、分かりやすくコンパクトに整理されていました。

タビストック・モデルの特徴の一つとしてあげられるのが、乳児観察に触れられていました。
乳児観察では、観察者が週に1回、乳児のいる家庭に訪問し、1時間、乳児と養育者とのかかわりを観察し、それを後で観察者が記録に起こします。
そして、経験のある心理療法士のもと、5名程度のグループの中で、記録を提示し、観察された事実についてディスカッションを行うというもののようです。
本章の中では、精神分析的態度の基盤となる重要なトレーニングとされていました。
参加者の先生方は、普段の臨床で精神分析をオリエンテーションとしているというよりは、精神分析の理論や実践について本やディスカッションを通して触れてみたいという方が多くいらっしゃいました。乳児観察については、どうやって訪問する家庭を探すのか、訪問先の母子は観察者に対してどんな気持ちを抱くのか、続けていくとどのように変化が生じるのか、などいくつかの疑問が上がりました。
参加者の方々では、乳児観察を実際に体験されている方はいらっしゃらなかったので、文章や臨床の場での子どもとの関わり体験から想像を膨らませて、あるいは聞き知っている情報を踏まえてのディスカッションとなりました。

また、子どもとの精神分析的心理療法を行う際の設定についても具体的に記載があり、子どもに「こうすべきである」と遊びを制限するための設定ではなく、心理療法の中で展開される子どもの内的対象関係の投影や転移を見つめ、考えていいくためのものである、とありました。
児童養護施設や療育の現場で勤務されている先生方からは、生活の場とセラピーの場が一体化していることから設定を維持するとなると難しいであろうこと、そして、他の専門職と子どもの心のついての理解を共有していくことの困難などが語られました。
本の中では、セラピスト自身の分析やトレーニングなど、体験的な学びの重要性について書かれており、実践となるとさらに深い学びが必要になることを改めて考えされられる章でもありました。

次回は6月6日(日)10時~12時を予定しています。内容は「第9章」であり、講師には京都大学大学院の岡野憲一郎先生にお越しいただく予定です。単回からのお申し込みも可能です。ご興味やご関心がおありの方はこちらよりお申し込みください。

タイトルとURLをコピーしました