描画の基礎を学ぶ~バウムテストと風景構成法(2021年度) を開催しました

本日8月8日は、臨床心理士、公認心理師、臨床心理士養成の大学院生を対象にバウムテストと風景構成法についての研修会を開催しました。(本来、2月に開催の予定でしたが、延期開催したものです。)

バウムテストは、Kochが1940年代に創案した描画法であり、被検者に木を描いてもらい、その方の行動様式、性格特徴、感情などを理解しようとする検査です。
その実施にあたっての道具・教示が比較的簡便、かつほとんど年齢を問わずに実施できることから臨床現場でもよく利用される一方で、結果の解釈に熟練を要するという難しさもあります。
参加者の方からも、一つ一つの指標については理解できるものの、バウムから得られる理解をどのように統合的に理解し、被検者の方の像を表現するような言葉を練りだせばよいのか、分からない、というご意見もありました。

バウムテストの形式分析や象徴分析のための、各指標のもつ意味について知識を増やすことも大事ではありますが、その前提として、どのようにして樹木の絵に受験者のパーソナリティが表れているのか、樹木における内界と外界との関係性や、未来⇔過去の時間軸の反映などについてレクチャーをしました。
そうして樹木画全体をどのように捉えればよいのかという理解を踏まえたうえで、実施する上での注意点や、解釈の際のポイントなどをお伝えしています。
また、いくつか事例を提示し、どのように解釈を組み立てるのか、変法(2枚法)を使用する際にはどのようになるのかなども、ご紹介しています。

午後は風景構成法の研修を実施しました。参加者の方からは、現場で風景構成法を使う機会がなく、どのようなタイミングでしようしたらよいのか、というお声がありました。
風景構成法は心理療法の中で、非言語的なイメージの表現を中心にやりとりする場合に用いられることもありますし、自我の発達や構成的に思考する力をアセスメントするための手法として用いられることもあります。
研修では風景構成法が開発された歴史的経緯や、これまでに作られてきた理論について確認した後で、まずは、風景構成法に取り組んでいただいたうえで、実施法と解釈法のレクチャーを行いました。
参加者の方々にも風景構成法を描いていただいたので、解釈法を聞いたうえで、ご自身の描画について解釈を検討していただきました。
また、事例もこちらで提示し、どのように描画を描き手と共有するのか、描画から得られた理解をその後、どのように活用していくのかについて解説しました。
なかなか風景構成法についての研修を受ける機会自体が少ないので、貴重な学びの場になったというお声もいただきました。

今後も、描画の研修を開催する機会を、落ち着いて実施できる時期をみて、検討していきたいと考えております。





タイトルとURLをコピーしました