2021年10月3日(日)10時~16時に、オンライン研修「就労支援におけるブリーフセラピーの活用~面接構造にとらわれない心理的援助」を開催しました。
講師には、臨床心理士・公認心理師であり、日本ブリーフセラピー協会のブリーフセラピストでもある臼井卓也先生にお越しいただきました。
本研修の前半と後半に分かれており、前半の理論編では「ブリーフセラピーとはそもそも何か」について、初学者にもわかりやすいように歴史や背景理論についてご講義いただきました。
内容で印象的なことはいくつもありましたが、その中の一つは、ブリーフセラピーがポジティブ思考や楽観思考を単に促すものではないということでした。
クライアントの解決に困っている出来事を解決に導くには、それを成立させている悪循環を断ち切る(あるいは良い循環を拡大する)必要があり、そうした見立ての基に、なされるものであるということでした。
一般的に、ブリーフセラピーと言えば「ミラクル・クエスチョン」や「例外探し」などの技法が有名ではありますが、実際には技法のみが無目的に使われているわけではなく、事前に十分な見立てやどの介入が有効であるかといった検討がなされた上でセラピーが進んでいるということがよく分かりました。
後半は実践編であり、架空事例を用いて「就労支援のこういう場面で、対象となる方にどう関わるか」について、ワークをしていきました。
いざ自分でしてみると、対象となる方の問題をどのように把握するか、悪循環や良循環をどのように見立てるかなど、意外とすぐには介入の仕方が分からないということが体感されました。
特に、今、対象となる方が問題となる場面で一生懸命行っているのが悪循環であり(解決に向けての対処行動であるはずがそれが状況を悪化させているという認識)、そして、その例外を探していくことが良循環の構築に繋がる、というのが改めて目から鱗でした。
臼井先生の理論編から架空事例のワークに至るまでの一連の研修の流れは非常にわかりやすいものであり、前半で学んだ知識を、現場でいかに使えるかということを後半のワークで結び付けて学ぶことができました。
今回は産業や教育の分野で臨床をされている方々のご参加が多く、アンケートにも、研修がわかりやすく、明日から現場で使えそうだというご感想を多数いただきました。
今後も、現場で活かせそうな臨床技法にまつわる研修の開催を検討したいと考えております。