今回が初回となったこの研修では、講師に「先輩心理士(師)」をお呼びし、各心理療法の基礎を教えてもらおうと企画しました。
臨床心理士の場合、各大学院で出会う教員の影響が強く、大学院では教えてもらえない心理療法もあると思います。
公認心理師の場合は、教科書などで心理療法について学ぶものの、講義を聞いたことがない、どれが入門書か分からないということも多いのではないでしょうか。
心理療法は、自分で学ぶとなるとかなりハードルがあがってしまいます。
書籍を読んだだけでは実践に結び付けられるほどのイメージがなかなかわきにくいですし、どれが入門書なのか、どれが一般向けでどれが専門家向けなのかなども、その心理療法についてある程度精通していなければ判断することが難しいためです。
しかし、学会やSVなどで学ぼうというのもさらにハードルが高く「こんな初歩的な質問をしてもいいのだろうか・・」「自分のレベルで行ってもいいのだろうか・・」となってしまいます。
また、自分が学んでいる心理療法であれば、研修などの情報も比較的入手しやすいのですが、そうでないものは、情報すら入ってこないこともあります。
そうなると「新しい心理療法について学びたい」「あの心理療法が気になっている」と思っていても、なかなか学びが進んでいきません。
この研修では、そうした思いを抱えておられるであろうみなさまを対象とさせていただき、どのような質問もしやすい雰囲気で進めていけたらと思っていました。
初回はパーソン・センタード・アプローチ(PCA)ということで筒井 優介先輩にお越しいただきました。
全8回のうち、どの心理療法から順番にやればいいか・・ということを検討したのですが、筒井先輩も講義の中でおっしゃっていたように「すべての心理療法に通じる技法・理念」として、PCAが1番手に相応しいだろうという結論になりました。
筒井先輩は、沖縄の民族衣装「かりゆし」で登場され、とても温かく柔らかな雰囲気で講義を進めてくださいました。
マズローから現在まで、PCAがどのように発展していったのかの歴史を丁寧にご説明いただき、そのうえでPCAの中心となっているロジャースの3原則(受容、共感、自己一致)に関する世間一般のよくある誤解について丁寧にご説明いただきました。
ロジャースの3原則は実は6原則であることも、ご存知ない方も多かったのではないでしょうか。
さらに「体験に注目する」ことが大切だということから、フォーカシングに発展した経緯などもご説明いただき、第7回のフォーカシングにつながるお話もしてくださいました。
また、「今ここで」の取扱いに関しては、次回の精神分析と通じるところがあるといったお話もしてくださり、心理療法の縦横のつながりが明らかになりました。
後半はペアワークを実施いただき「一緒にいることを体験する」「感じる」といった体験を参加者のみなさまにしていただきました。
現地であればその時の様子などを直接見ることができるのですが、オンラインではそれが叶わなかったのが残念です。
しかし、ペアワークから全体の場に戻られた皆様の表情を見ていると、とても良いお顔をされておられ、体験が良いものであったことを感じることができました。
感想では「一緒にいることを体験することの大変さ」についても語られ、みなさんの体験を全体で共有することもできました。
この研修では、毎回講義を録画し、月末に配信させていただきます(1ヶ月視聴可能)。
ペアワークの部分はカットされているため、少しコンパクトになります。
ペアワークの実施方法は丁寧に解説されていますので、ぜひ同業者同士の研修などにお役立て下さい。
次回は7月11日(日)10時~13時「精神分析」です。
全回参加、単回参加ともに受け付けています。
研修内容の詳細についてはこちらをご覧ください。